キャンプ場からの出勤
いくらアウトドアーなライフが理解されるようになったとはいえ
キャンプ場から直接出勤するのは．．．やっぱりマズイかな〜？
★アー、遅刻する〜
一直線に続くストレートをぶっ飛ばし、朝のラッシュで込み合う名古屋高速出口の車列をすり抜ける。
キャンプ装備で重くなったセロー２２５を強引に操り、速度を保ったまま一般道に合流。
タイムリミットまであと１５分．．．ウーム、間に合うのか．．．
★突発的キャンプ宴会
これはかれこれ１０年以上前、新入社員で会社に入ったころのお話し。
前日の夜、私のアパートにはサイクリング部時代からの悪友・Ｏ君、
いつものツーリングの相棒Ｍ君などが遊びにきていた。
特に目的というものは無く「この夏のツーリングの予定」なんて事をダラダラと話していると、
アウトラーダー誌をめくっていたＯ君が突然言い出した。
「よし、今からキャンプに行くで！！」
日曜日の夜７時からキャンプ〜！？
「何、考えとるんじゃ？」、「でも面白そうだね」
ツーリングの帰りに名古屋へ立ち寄ったというＯ君は、キャンプ装備一式はもちろん完全武装。
Ｍ君は手ぶらであったが、私の予備のシュラフを貸してあげることで目先の問題はクリアした。
しかし、今日は日曜日。明日は会社（学校）．．．だろ？
まあ、早朝に戻れば荷物降ろして、シャワー浴びてから出勤する時間ぐらいあるかな。
結局、１時間後には鈴鹿山地に位置する「とある空き地」にむけて、夜の道をバイク３台で
走っていたのだった（笑）
現地につくと、さっそくテントを張ってシュラフを広げ．．．
あとはランタンの上で「焼き鳥の缶詰」を暖めたり「スルメ」を焼いたり。
ウイスキーの香りと、缶ビールを開ける「プシッ」という音が最高に心地良いのであった。
この瞬間のために．．．キャンプ道具積んで、バイクで走るんだよね（笑）
★朝起きると
ウーム、いま何時？．．．
ゲッ！！！
時計の針はすでに７時まであと少し、というところを指していた。
ヤバイ！！
しかし、恐怖に駆られながらも頭の中は高速で時間の計算に取り掛かっている。
会社が始まるのは９時。しかし朝礼は８：５０開始、ラジオ体操は８：４５。
となると、仕事の前の片付け（新人の仕事）は勘弁してもらうことにしても
名古屋高速と東名阪使って．．．
逆算してゆくと、どうみても時間はぎりぎり。
チョットでも気を抜けば遅刻は確実であったが、がんばればどうにか間に合うという、
とても微妙かつ、いやらしい時間配分であった。
そんなことを考えているうちに、貴重な時間はどんどん少なくなって行く。
「おい！、みんな起きろ！！」
そう言いながら、私の手は自分のシュラフを丸めにかかっている。
「なんやー？」、「もう５時？．．．」（最初の起床予定時刻は５：００だった）
何寝ぼけたこと言ってやがる！！
しかし、２人とも慌てる様子がない。
Ｍ君：「あー、余裕余裕」、「モーニング食ってから会社行こう」
（彼の自宅はガラ空きの国道３６５を１５ｋｍほど走ったところで、会社はそのすぐ先だ）
Ｏ君：「今日の講義は午後からや」、「２時間あったら大阪まで行けるし」
（学生さんは気楽やの〜）
「やかましいわ、さっさと出んかい！！」
シュラフごと２人をテントからたたき出して、すさまじい速さでテントをつぶし．．．
どうにかこうにか出発の準備が整った。
ウーム、時間は既に７：１５をまわっている、
しかも空からは冷たいものがポツポツと降り出してきた。
ああ、泣きっ面に雨かい！！
カッパを着て、全員で「空き地」を出発。国道３０６へ出たところでホーンを鳴らして２人と別れる。
御在所方面から大阪へ帰るＯ君は右へ、関ケ原方面へ行くＭ君は左へ、
そして私は桑名ＩＣ目指し、目を三角にして直進あるのみ。
これからは、たったひとりで時間との戦いが始まる。
とはいっても自業自得なのでカッコ良くも何とも無い。
といゆうか情けない．．．
★時間との戦い
員弁町、東員町、と過ぎて桑名市へ向かうが一車線の国道４２１は以外に交通量が多く、
思ったほど早くは進めない。
田舎の国道（地元の方ごめんなさい）と甘く見ていたが右折レーンも無い交差点はすぐに渋滞気味になるし、
路肩は狭くてすり抜け出来ないし、マイカー通勤が当たり前の土地柄で車が多いし．．．
ヤバイ、早くも計算が狂ってきた。こんなところでグズグズしている余裕は無いのだ！！
その後、いろんな「技」を駆使して、どうにか５分遅れで桑名ＩＣにたどり着いた。
料金所の無人発券機からノンストップで通行券をもぎ取り、名古屋めざしセローの性能を限界まで
引き出す．．．といっても２２５ｃｃじゃなー、せめて２５０ｃｃなら、クー！！（悲しい）
メーター内の赤ランプを点灯させたままトラックやマイカーをかわして、雨の高速を東へ東へ。
おかげでどうにか予定の時間に追いつきだしたが．．．
ふと、いやな予感が頭をよぎる。
東名阪と名古屋高速の境界にある名古屋西ＩＣの料金所渋滞が．．．計算に入れてなかった！
どうしよう、このまま「がむしゃらに走って」遅刻覚悟で滑り込むか、何か言い訳を考えて「あきらめよう」
という気持ちとが複雑に交錯する．．．
とはいっても、新入社員が思いつく言い訳などたかが知れている。
どうせバレるならイチかバチか勝負しよう！！
★どうやら到着
名古屋高速は、ひたすらぶっ飛ばして一気に通過。
高速を降りた後は、すり抜けと裏道を駆使して会社に到着。
名古屋市内は青空が広がり、カッパとオフロードブーツという目立つ格好で
ドタドタと「更衣室」に駆け込み、急いで作業服に着替え。
アー、ラジオ体操の音楽はもうほとんど終わり。ヒー！
階段を駆け下り、体操が終わった瞬間に、朝礼の列にするりと入りこんで．．．セーフか？
朝礼が終わったあと、何食わぬ顔で仕事に取り掛かろうとすると、上司が手招き。ヤバ！
「おまえ、今朝どこから会社へ来た？」
天気が良い（名古屋市内）のにカッパはまずかったか〜？
でも、途中で脱いでる余裕なんて全然無かったし．．．
エー、結局しっかり怒られてしまいました（笑）
しかし、後から分かったことですがこの上司。
長野方面のスキー場から、会社に朝直行するのがしょっちゅうという御方でした。
しかし、高速の渋滞・通行止めに遭遇しても必ず時間までには余裕を持って出社されていました。
「そうか、キャンプ場からでも余裕を持って出勤すれば良いって事か！？」
「ようくわかりました！！」
でも、そんなこと言ったら、
「そうじゃねーだろっ！、コラッ！！．．．」
って、また怒られそう（笑）
新入社会人キャンパーの皆様、上司を心配させてはいけませんよ（笑）
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