３日ほど平日に休みが取れたので帰省がてら岡山の海を漕ぐことにした。
私の仕事は連休を取ろうとすると平日しか取れないので、誰かを誘って漕ぐのは
なかなか難しい。結果的に単独行が多くなるのだが、気楽な反面ちょっと単調になってしまう。

前年の秋に鹿久居島を一周したことで、牛窓・日生あたりはあらかた漕いでしまったことになる。
冬の間、ネットで情報収集していた直島諸島以西に出かけることにしたが、
春と秋の瀬戸内は風の強い日が多く、１日目は実家で停滞することになってしまった。

ここ数年は帰省の回数が増えたが、両親からは
「親に会うより漕ぎに帰って来ているんだろう」と苦笑されてしまう。
いい年こいて本当に親不孝な息子だ。


最初の目標地点の石島は、南北２ｋｍほどの小さな島だが
島の北側が岡山県、南側が香川県になっており、島の名前も
岡山県側は石島（いしま）、香川県側は井島というように漢字が違うのだ。

島に県境があるのはともかく、同じ島なのに県が違うと名前（漢字）が異なるとは、、、
うーむ、いろいろありそうな島だ。


出先半島から出艇、西風の裏になるので海は穏やか（１０：５６）

高校までは岡山に住んでいたが、自分で運転して玉野まで来たのは初めての経験。
結構遠いと思い込んでたが、２号線バイパスを走り児島湾大橋を渡るとすぐに着いた。

風を見ながら現地で立てたこの日の計画は、西風が強く、潮は東からなので
出先半島から石島（井島）の西側に入って風を避けながら南に漕いで岬を回り
潮に乗って向島を抜け直島の東岸へ、
そこから直島を北上した後、西風に乗って出先半島へ戻る、というものだ。

瀬戸内でもこの辺りは海が狭く潮の流れも速いと聞いていたので
海上保安庁の潮流情報を無視することは絶対に出来ない。
それを元に、広い海面では風を味方に、狭い場所では潮を味方にするように、、、、

人力のフネを最も安全かつ効率よく進めていくために、
時間ごとの潮の向きや、風の強弱も予想しつつルートを組み立てていくのは、
若狭や熊野の海を漕ぐのとは全く違った面白さがある。


石島（井島）に向かう途中にある筏島を目指して漕いで行く（１１：１１）

瀬戸内につき物の船舶の往来を気にしつつ最初の海峡横断を開始。
大波や強風よりも船舶の方が危険度は高い。

左から貨物船が来たと思えば、右から小型フェリー、後ろからは漁船が来たり。
瀬戸内の島渡りは、常に真後ろにまで気にしながら漕ぐ必要がある。


筏島の西側まで来たら結構風が強い（１１：１８）

中間地点の筏島まで来るとけっこう西風が強い。
風上側に居るので少し漕ぐのをやめると、みるみる島に吹き寄せられてしまう。
東から近づいてきた船をやり過ごすため、しばし休憩。


石島（井島）の北岸が近づいてきた（１１：２２）

さて、石島（井島）の西側を漕いで行こうかと思っていたが、近くで釣りをしていた漁師さんから
「この後もっと風が強くなる、自分も戻るととこだから早く帰ったほうが良い」と教えられた。

ウーム、この程度なら予定のルートで行って行けないことも無さそうだが、
初めて漕ぐ場所なので実際のところは分からない。
少し考えたが、ここはアドバイスに従いスッパリ戻ることに決めた。


筏島の東に浮かぶ面白い岩礁（１１：３４）

そうと決まれば、素早くＵターンして筏島まで戻る。
今度は風下側で風除けしながら写真を撮ったり空を見たり。


波が高くなりだした海を越えてゆく（１１：３８）

転流の時間が終わり、潮が西から東へ動き始めたようだ。
カヤックからでも川のように潮が流れているのがはっきりと分かる。
しかも風向きは反対なので自然と波は高くなる。


潮の真ん中で風上側を見ながら撮影、西の空が暗くなってきた（１１：４５）

真横に風を受けながら漕いでいると、時折デッキ上まで波しぶきが飛んでくる。
この日乗っていたニンバス・ホライゾン（４９５×６０ｃｍ）は、悪天候に強い。


風が強く、煙突の煙も真横に流れている（１１：４８）

ベタ凪ぎのときは漕ぎが重くて閉口することもあるが、こういう時は本当に心強い。
安定が良くバランスをあまり気にしなくていいので、風や横波を無視して
グイグイ漕いで行け、荒れた海でもスピードが落ちない。


出先半島西側の風の当たらない入り江に上陸（１２：０１）

風裏に入ると先ほどまでの状況がウソのように静かになった。
まだ漕ぎ始めて１時間しか経っていない。

腹も減ったので奥まった場所にある小さな入り江に上陸し、
海を眺めながら少しノンビリすることにした。


出先半島の岩場を見ながら風裏を進む（１２：３６）




短い旅だったがまた来よう、直島諸島（１２：５１）

ちょっと切り上げるのはもったいないかな？とも思ったが、
別の出艇場所を探すために出先半島の西側に行くと、
ビュービューと風が吹きつけ波頭も白くなっていた。

まあ、続きは次の機会に。